全国カラオケ事業者協会


②お客様の心情を理解し、「共感」していることを態度で示す
【対応のポイント】お客様が困っている事実に対して、その心情を理解し、共感する。共感していることを伝えるために、お客様に声をかけ、お詫びを伝える。

 ここでいう「お詫び」と「謝罪」は異なるものです。「謝罪」は単に罪や過ちを詫びることですが、「お詫び」は、困難な状況を引き起こしたことを認めたうえで、お客様に対する共感を表現したものです。つまり、「お詫び」は気持ちを伝えて、クレームを解決するための最初の行動になります。

 ここからクレームの本題です。

 お客様の話を聴くには信頼関係をつくる話の聴き方をしなければなりません。そこで、
●まずはお客様の話を最低でも「3分間」は聴く
●内容のみでなく、感情まで理解すること。また、理解していることを伝える。これが「聴く」ということです。
●そして「あいづち」、「うなずき」、「復唱」を使って聴く
 お詫びの後は、お客様を促して、「態度」「表情」「声」を使って全身で話を聴きます。例え電話口であっても、事務的に「聞く」のではなく、心で「聴く」ことが求められます。お客様の話を聴くことのゴールは、「お客様との信頼関係をつくること」です。自分の家族や親しい友人が怪我や病気をしたときの状況を思い浮かべながら言ってみましょう。

 一方で、お客様の話を最後まで聴かずに「言い訳」や「説明」を始めてしまう、もしくは、黙って聞いている、無反応、無表情という方が実に多いのです。これではお客様の気持ちを逆なでしてしまうことになります。そして、お客様の言葉をくりかえす(復唱する)ことも、共感につながります。「この人は信頼できる」という印象を持っていただくことが、その後のスムーズな対応につながります

 クレームへの対応は、迅速であることも重要です。時と場合によっては、現場に急行するなど即時対応しなければなりません。また、確認などで、一旦途切れる場合は、いついつという目処をお伝えし、お客様には必ず途中経過を知らせること、つまり「放置されている」という印象を持たれないようにすることです。  実際に対峙する場合は、落ち着いて話せる場所を選ぶ、対応する場の上座・下座に注意し、「あなたは大切な方です」と感じていただける環境をつくることが肝心です。

③クレームの問題点・お客様のご要望を確認する
【対応のポイント】「常識」のすり合わせを行う。お客様と自分の「常識·判断」は、異なると考えるのが基本
 商品·サービスを提供する側とお客様の常識は異なります。その点を考慮せずに、「自分たちは○○するのが常識」「あなたの考えはおかしい」という態度で臨むと、クレームに発展してしまいます。

 この際、問題·要望の確認を怠ると、対応の遅れやさらなる問題を引き起こし、クレームが拡大してしまいます。あわてず、「何が問題になっているか」、「要望は何か」を確認することが大切です。
 問題、ご要望の確認には「聴くこと」と「訊くこと」の両方が必要です。

「聴く」==相手の話に注意を向けて共感し、かつ相手の話の背景に考えを巡らせながら理解を示す。クレーム対応の基本、「聴く」は、「問題·ご要望の確認」などの情報収集にもつながります。
「訊く」==相手の背景に考えを巡らせながら、かつ相手が回答しやすいように注意を払い、質問し答えを求める。「何が問題なのか」を意識して、お客様をナビゲートしつつ、質問することが「訊く」ことのポイントです。(表2参照)

 お話を伺ってから、質問がある場合は、簡潔に、かつ、確実に聞くようにします。皆さんの豊富な業務知識でお客様に安心感を持っていただきながら、情報収集することが肝心です。そこでは、

1・いつ、どこでトラブルが発生したか
2・どんなことが起こっていて、お客様は何にご不満をお持ちなのか
3・具体的にどなたがご不満をお持ちなのか
4·問題点はなにか
5·当方に対してどうしてほしいとお考えなのか
などを伺いましょう。

 この際に、メモを取ることはとても有効なことです。それを整理して記録として残し、社内で共有することも大切です。  クレーム対応は、「聴く」ことがまず重要ですが、こちらの言い分も伝えていかなければなりません。お客様は、怒りながらも対応者の話をよく聞いています。少しずつ「ジャブ」を打ち、事実やこちら側の主張を伝えていきます。怒っているお客様に言い分を伝えるのは難しいことです。一歩間違うと、これまで構築したお客様との信頼関係が崩れかねません。

 伝えるテクニックとしては、「明確にできた事実」を先に伝え、「推測や伝聞の情報」は後から伝えます。明確なことから伝えていかないと、お客様の混乱を招いたり、後に「言った、言わない」という事態を招いたりし、クレームが長期化してしまう恐れがあります。

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